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バイクのインジケータを自作する(2)

前回のおさらい

大学の卒業研究に時間を取られてかなり日が開いてしまいました。

さて、前回はおおよその基本設計を決めたので、細かいところを詰めたり回路を組んだりしたいと思います。

センシング回路

回転数パルス

イグニッションコイルにCTセンサを取り付けて電磁波ノイズを拾えるか試してみます。 回路はこちらの記事(http://iizukakuromaguro.web.fc2.com/358_ign/358_ign.html)を参考にしました。

回転数検出回路

CTセンサで拾ったパルスをフォトカプラでスイッチングしてますね。 フォトカプラを使うことで電気的に絶縁したり、内部LEDのVf以下のノイズを除去する効果があるようです。 また、CTセンサと並列に入っている整流ダイオードは、逆起電力で生まれた電流を逃がすためのものらしいです。 これを入れないとフォトカプラの逆耐電圧を超えるのかな?一応入れておきます。

結果がこちら

オシロスコープのノイズ波形
シリアルモニタ

オシロCH1が整流後の波形、CH2が整流前の波形です。 CH1はマイコンに入力するときにプルアップしてるので反転してます。 ちゃんと不要なノイズが除去されていますね。 試しにこのパルスを一定周期でサンプリングしてrpmに変換してみると、なかなかそれっぽい値を取り出せました。

ニュートラル信号

回転数パルスと違って、ニュートラル信号は車体の配線に割り込ませて引き出してくる必要があります。 バイク屋さんに相談したら、スイッチスイッチから取るよりカプラに割り込ませた方がよいらしいので、タンク下のカプラを加工することにしました。

タンク下のカプラ
ACC信号(BR色)->ニュートラルランプ->ニュートラル信号->ニュートラルスイッチ(LG色)となっています。 ついでにACC信号も取り出しちゃいましょう
割込みカプラ

これなら素手でも元に戻せます。

クラッチ信号

前回はACCに接続されていないことが原因でマイコンに入力できずにいました。 解決策として、クラッチスイッチを5極リレーの1次側に置き換えます。 そして、元のクラッチスイッチをリレー1次側のスイッチとします。 下の図にはありませんが、リレー2次側をスタータロックアウトスイッチに繋ぐことで、安全装置を動作させます。

クラッチ信号の取り出し

スイッチング用のMOSFETは基板側に実装します。 エンストしてエンジンをかけ直す時、このリレーが壊れているとクラッチを握ってもエンジンがかからなくなるのが怖いですが.......。 まあニュートラルに入れれば今まで通りなのでいいか。

外装

防水を考えるとなかなか悩ましいのですが、Amazonでよさげなものを見つけました。 (https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08RNDPT59/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o00_s00?ie=UTF8&th=1)

いい感じの箱

85x58x33のエンクロージャボックスです。多分屋外配線とかに使うやつ。 配線の引き出しはタカチのケーブルグランドを使う予定です。

タカチのケーブルグランド

回路設計

KiCADでもりもり回路を組んでいきます。 スペースの都合上、ピンヘッダで接続する2段構造としました。

LEDドライバ回路
LED表示回路

1段目のドライバ回路でDC/DCコンバータを使ったマイコン用5V電源の生成や各種信号の入力・スイッチング、LEDの制御を行います。 LEDの制御には8bitシフトレジスタを使ったダイナミック点灯を採用します。 今回使う7セグLEDは共通端子がまちまちなので、スイッチング用のトランジスタアレイはソース・シンクタイプを両方のせています。 2段構造にしたことで、LED表示回路だけを挿げ替えることもできますね。

レイアウトはこんな感じ

基板レイアウト

もうパンパンです。一部表面実装部品があるので手はんだできるか不安です。

まとめ

車速パルスだけ拾えるか試せていないのですが、まあ12Vのパルスが出てくるだけだと思うので大丈夫でしょう。 (オシロスコープ抱えてバイク走らせるわけにはいかないし......。)

基板は発注したので、もろもろの実装やプログラミングは次回以降にまとめたいと思います。

バイクのインジケータを自作する(1)

はじめに

最近Kawasakiの250TRというバイクを購入しました。
とても軽量で取り回しがしやすく気に入っているのですが、約20年前の車両であるということや、そもそも新車販売時から低価格帯のバイクだったことからABSはおろかタコメータやシフトインジケータなんかも付いていません。
そこでABSはともかく走行に影響しないインジケータの類なら自作できるのでは?ということで挑戦してみることにしました。

目標

とりあえず、今回作る予定なのは

  • シフトインジケータ
  • タコメータ
  • スピードメータ
  • 電圧計

あたりです。レトロフューチャーみを感じになるようなLEDディジタルメータを目標にします。
スピードメータは既存のものがあるのでなくてもよいのですが、ついでなので。詳しくは後述します。

基本設計

実はシフトポジションを割り出すときに車速やエンジン回転数が必要になるので、スピードメータとタコメータはシフトインジケータのおまけみたいなものです。
車体から取得する必要がある信号は以下の通りです。

これらの信号をマイコン(予定ではArduino Nano EveryやESP-WROOM-32あたり)に入力して処理します。

各信号へのアプローチ

車速パルス

スピードメータにはセンサから車速信号を得る電気式と、車輪に連動して回転するメーターワイヤから車速を得る機械式があります。
TRは機械式を採用しているので、車速パルスを得るためには機械式->電気式の変換アダプタを使うか、車輪に張り付けてその回転速度を拾うタイプのセンサを使う必要があります。今回は前者を採用します。

デイトナ製の変換アダプタ

回転数パルス

次に車速パルスなんですが、基本的にはイグニッションコイルから点火回数を取ることになります。具体的にはコイルの1次側に配線を割り込ませるか、導線を巻き付けたりCTセンサ(≒コイル)を使うことで電磁波ノイズを拾う方法が用いられます。
今回はミスがあったとき走行に問題が出そうな点火系の回路に割り込ませたくなかったり、導線を巻き付けるだけでは安定してノイズを拾えなかったことからCTセンサを使うことにしました。

クランプ式CTセンサ(CTL-6-S32-8F-CL)

ニュートラル信号

ニュートラルスイッチ

配線図を確認すると右下にニュートラルスイッチがあります。ACC電源->ニュートラルランプ->ニュートラルスイッチと接続されていて、ニュートラルのときにスイッチONになりランプが点灯する仕組みのようです。
分岐した先にスタータサーキットリレーなるものがありますが、これはギアが入っている状態ではエンジンを始動させないようにするための安全装置です。(クラッチを握れば始動しますが、詳しくは後述します。)

クラッチ信号

クラッチにもスイッチがついていてスタータサーキットリレーに接続されています。クラッチ配線図ではスタータロックアウトという名前が付いています。純正では安全装置にしか使われないからこんな名前なんでしょうか。 クラッチが繋がっているとここのスイッチが切れて始動出来なくなるようです。

スタータロックアウトスイッチ

で、こちらはニュートラルスイッチと違ってACC電源に接続されていません。なので電圧でスイッチの状態を検出することができません。(強いて言えばセルモーターを回しているときは可能かも知れないが......。) このあたりの検出方法も考えて別の記事にまとめます。

バッテリー電圧

最後に電圧計ですが、これは繋ぐだけで完結するモジュールを使おうかなと考えています。

ディジタル電圧計モジュール

秋月見てたらアナログもありますね。あえてこっちにするのも測定機器感が出て渋いかも......。

アナログ電圧計

おわりに

基本的はこんな感じで進めていきます。マイコンへの入力回路やバイクの配線、設置位置や防水処理など考えることがたくさんですがのんびり進めていけたらなと。